バル巡りをしていると、何気ない、でも魅力的な裏通りに出くわします。
ずっと昔にここに来た事があるような既視感に襲われます。
前店舗「熱々万歳!」の前より30数年料理の世界に携わってきて今、自分のやりたいことは「自然の火で素材をでシンプルにグリルする事」にたどり着きました。
10年ほど前にスペインの炭焼きオーブン「Josper」と出会い、実際にスペインまで行き、その魅力に取り憑かれてしまいました。
今回の店の新装をきっかけに、自分自身の集大成に大いに寄与してくれるであろう、このチャコールオープンを料理の柱にして、新たに再出発しようと思います。
美味しい料理と酒、そして楽しい会話は、
現在のコロナ禍の状況であっても決して無くならないと信じています。
" BARBARO"とはスペイン語で「野蛮な、粗野な、無作法」などの意味で、自分らしいといえばそうですが、一見あまり良くない言葉です。
しかし、スペイン語圏のある地域では逆に「良いね!」「最高!」の意味に使われるそうです。
そんな「白か黒か」「美味いか不味いか」「最高か最低か」「のるかそるか」的なぎりぎり瀬戸際のプレッシャーを自分に課すために、この店名にしたのかもしれません。
前店舗の名前が日本語の上、造語すぎて、お客さんにどういうお店なのか上手く伝わらなかった、というのもありました。
なので今回は店名を短くしてお客さん達に覚えられやすく、しかも親しみのある韻を含んだ名前にしたいと思いました。
そのバルバロを開店に漕ぎ着けるまで、たっぷり二年の歳月が流れてしまいました。
正直申し上げると、今までの人生で一番辛かった時期でした。
やはり自分は自分の店でおもいっきり料理を作ったり、お客さん達と話しをするのが好きなんだ、と痛感しました。
これからまだまだ大変な時期が続くと思いますが、いくつになっても「自由と反骨精神」を忘れずに自分を信じて日々過ごしていこうと思います。
今後とも「BARBAROバルバロ」をよろしくお願いします。
御殿場の街の片隅で、いつか見た、とびっきり素敵な「バル」を目指して。
店主 植村ゆう司